現在、国産のSUVで3列シートを選ぶことのできる車種は多くありません。
今回は、国産の高級SUVである三菱のアウトランダーPHEVとマツダ(Mazda)のCX-8との徹底比較を行います。
どちらの車種も最新のデザインを採用した高級感のある内外装の3列シートSUVであり、ディーゼルやPHEVシステムなどによる低燃費でパワフルな走りが魅力的です。
実際に購入を検討する場合は実車を確認することが重要ですが、是非その前準備として本記事の内容を参考にしてください。
各車種の紹介
三菱自動車 / アウトランダーPHEVについて
新型アウトランダーPHEVは、2021年12月にフルモデルチェンジされたミッドサイズSUVです。
サイズは全長4710mm×全幅1860mm×全高1740-1745mmの3ナンバーサイズとなります。
価格は4,995,100~6,304,100となっています。
アウトランダーPHEVは以下のような特徴があります。
・最新の三菱デザインを採用した力強く先進性のある外観
・これまでの三菱車とは比較にならないほどの内装の質感の高さ
・最新のPHEVシステムを採用したことによる先進性と、2モーター4WDによる緻密な電子制御
・5人乗りと7人乗りをグレード別で設定
・7人乗りが設定されるSUVの中ではコンパクトなサイズ感で取り回しがよい
・3列目を倒した際の広い荷室
・EVでの航続距離が83~87km (WLTC)であり、日常生活は充電のみで走行可能
・e-AssistとMI-PILOTの採用による先進安全機能の装備
Mazda / CX-8について
CX-8は、2017年12月に発売され、2020年12月にマイナーチェンジされているラージサイズSUVです。
サイズは全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mmの3ナンバーサイズとなります。
CX-8は以下のような特徴があります。
・最新のマツダデザインを採用した高級感のある外観
・マツダのフラッグシップモデルにふさわしい内装の質感の高さ
・ディーゼルモデルをラインナップする数少ない国産車
・2.5Lガソリン、2.5Lガソリンターボ、2.2Lディーゼルと幅広いラインナップ
・300万~500万と幅広い価格帯
・6人乗りと7人乗りを設定し、2列目と3列目は十分な広さを確保
・3列目を倒した際の広い荷室
・ディーゼルエンジンでは15.4-15.8km/Lという燃費の良さとトルクフルで力強い走りの両立
・i-ACTIVSENSEの採用による先進安全機能の装備
各車種の比較(個人的な意見を含む)
外装
まずはエクステリアについて比較します。
力強さや先進性、三菱らしいデザインを求める方にはアウトランダーPHEVがオススメです。
高級感や美しさ、マツダらしいデザインを求める方にはCX-8がオススメです。
理由は以下のようになります。
・アウトランダーPHEVは最新の三菱デザイン「ダイナミックシールド」を採用し、力強く存在感のある外観
・CX-8は他のマツダ車と統一されたデザイン「魂動デザイン」を採用し、優雅で高級感のある外観
・アウトランダーPHEVがレンジローバーと同系統のSUVらしい腰高で安心感のある印象、CX-8は相対的に重心が低めでスタイリッシュ、スポーティな印象
内装
次にインテリアについて比較します。
前提として、どちらの内装も質感はとても高く、国産車の中でもトップレベルです。
その上で、先進性や独自性を求める方にはアウトランダーPHEVがオススメです。
高級感や美しさを求める方にはCX-8がオススメです。
理由は以下のようになります。
・どちらも国内車ではトップレベルの質感
・要所要所に加飾を加え、全体的に統一感のある落ち着いた高級感を感じさせるCX-8
・オレンジと白の内装を選択することができ、高級車に採用されるセミアニリンレザーのマッサージ機能付きシートも選べるアウトランダーPHEV
・フル液晶デジタルメーターの採用など、先進性を感じさせる装備を持つアウトランダーPHEV
・ マイナーチェンジによりナビが8.8インチ化、Lパッケージ以上では10.25インチの大型ナビを採用し、古さを感じさせない装備としたCX-8
使い勝手
それぞれの車種の使い勝手について比較します。
取り回しの良さ:アウトランダーPHEV
運転のしやすさは全長の小さいアウトランダーPHEVが優れています。
しかし、細い道や駐車の際は全幅の小さいCX-8が優れています。
総合的に見れば、全幅では大きな差がなく全長の差は大きいため、アウトランダーPHEVの方が取り回しに優れていると言えます。
車種 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | 重量(kg) | 定員(人) |
アウトランダーPHEV | 4710 | 1860 | 1740-1745 | 2010-2110 | 5 or 7 |
CX-8 | 4900 | 1840 | 1730 | 1730-1930 | 6 or 7 |
3列シートの広さ:CX-8
どちらも3列シートを設定していますが、アウトランダーPHEVは完全に子供用と割り切った方が良いほど狭い3列目となっています。
CX-8は3列目も余裕をもって座れる設計となっているため、3列目に人を乗せる機会が多い方はCX-8一択となります。
荷室容量:CX-8
荷室容量はCX-8の方が余裕があります。
これは車両の全長サイズが大きく異なるため、取り回しの良さとのトレードオフになります。
また、3列シートを起こした状態での荷室容量でもCX-8の方が大きいため、少しでも荷室が大きい方が良い方にはCX-8を推奨します。
走行性能
走行性能は、発進時、中間加速、高速安定性、コーナリング、悪路走破性で比較します。
あくまでジャーナリストによる動画や試乗を基にした個人的な意見のため、参考程度にお願いします。
発進加速:アウトランダーPHEV
発進加速では、モーターの力による瞬発的な加速の方が優れています。
停止状態から最大トルクを引き出せるモーターならではの発進加速は、一度体感するともうガソリン車には戻れなくなるほどの魅力があります。
中間加速:CX-8(2.5Lターボ or 2.2Lディーゼル)
中間加速では、CX-8の方が有利です。
2.5Lターボでは230PS,420Nmを、2.2Lディーゼルターボでは190PS,450Nmを発生し、CX-8の方が軽いため有利となります。
高速安定性:同等
高速での安定性は重量や全幅、馬力など複合的に考えられますが、スペックから比較すると圧倒的な差が出ないため同等とします。
コーナリング:アウトランダーPHEV
コーナリングは、2モーター4WDの緻密な電子制御を行うアウトランダーPHEVが有利です。
三菱の4駆制御システムであるS-AWCは定評があり、今回もサーキットでの試乗などによってコーナリングの良さを示していました。
悪路走破性:アウトランダーPHEV
悪路走破性では、4WDが標準装備で、2モーターによる緻密な制御が可能なアウトランダーPHEVが優れています。
走行モードも多数用意されており、様々な悪路を想定して制御が可能です。
ただし、CX-8も悪路走破性が低いわけではなく、十分な能力を持っているといえます。
安全装備
安全装備では、どちらも最新の技術が装備されており、大きな優位性はありません。
グレードによって標準装備かオプションか変わってきますが、欲しい安全装備はほとんど装備することが可能です。
新型アウトランダーPHEV | CX-8 | |
使用センサー | カメラ・レーダー | カメラ・レーダー |
衝突被害軽減ブレーキ(対車両) | 約10km/h~ | 約4~80㎞/h |
衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者) | 約10~80km/h | 約10~80㎞/h |
後退時衝突被害軽減ブレーキ | 〇 | 〇 |
誤発進抑制制御(前進・後退) | 〇 | 〇 |
ブラインドスポットモニタリング | 〇 | 〇 |
レーダー・クルーズ・コントロール | 〇 | 〇 |
レーンキープアシスト | 〇 | 〇 |
車線逸脱警報システム | 〇 | 〇 |
標識認識システム | 〇 | 〇 |
ふらつき警報 | 〇 | × |
アラウンドビューモニター | 〇 | 〇 |
光学系安全装備 | アダプティブLEDヘッドライト | アダプティブLEDヘッドライト |
燃費
燃費ではアウトランダーPHEVが有利となっています。
これは、実際の走行時はハイブリッドでの走行となるため、重量の増加以上に燃費の向上があるということです。
ただし、ディーゼルモデルのCX-8であれば燃費はほとんど変わりません。
単純に燃費で比較する場合はあまり大差がないと考えた方がよいと思います。
アウトランダーPHEVは充電することで、CX-8のディーゼルは軽油により燃料費が安価なため、日常での使い方を踏まえたうえで検討する必要があります。
車種 | パワートレイン | WLTC燃費(km/L) |
アウトランダーPHEV | PHEV | 15.6-17.0 |
CX-8 | 2.5L NA | 12.2-12.4 |
2.5L ターボ | 11.6-12.0 | |
2.2L ディーゼル | 15.4-15.8 |
価格
価格はCX-8の方が車格が大きいながらも安価になっています。
アウトランダーPHEVとCX-8の2.5Lターボと2.2Lディーゼルの最上級グレードが同じ価格帯となっており、アウトランダーPHEVがかなり高価であることがわかります。
しかし、国や自治体からの補助金も大きいため、実際の金額では差は縮まります。
PHEVシステムの電池が高価なことで価格がかなり高くなっているため、PHEVシステムにあまり魅力を感じない方はCX-8を購入した方が安価に満足感が得られコスパが良いと思います。
車種 | パワートレイン | 駆動方式 | 価格帯(円) |
アウトランダーPHEV | PHEV | 4WD | 4,621,100-5,320,700 |
CX-8 | 2.5L NA | 2WD | 2,994,200-3,999,600 |
4WD | 3,230,700-4,236,100 | ||
2.5L ターボ | 2WD | 4,598,000 | |
4WD | 4,834,500 | ||
2.2Lディーゼル | 2WD | 3,377,000-4,598,000 | |
4WD | 3,613,500-4,834,500 |
個人的なおすすめ車種
これらの車種の購入を検討する際は、街乗りメインでたまにアウトドアや遠出に行く人はアウトランダーPHEVを、遠出によく行く人や3列目をよく使いたい人はCX-8(2.5Lターボ or 2.2Lディーゼル)を検討すべきだと考えています。
どちらも国産SUVの中ではかなり高価なモデルではありますが、価格にふさわしい内外装の質感と国産SUV最高峰の走行性能、充実した装備を持っています。
どちらを購入しても満足感がとても高く、後悔することはないと思います。
ぜひ購入の参考にしてください。
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